クトゥルフ巻物『妖神乱舞』

クトゥルフ神話巻物『妖神乱舞』(龍龖龘𪚥=りゅうどうとうてつ 著 治田豪和=おさだとしかず 編 2013刊 豚蛇出版) 通読。

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ヨグ=ソトース / クトゥルー / ヴフドゥフトゥブグ / チャウグナル・ファウグン / タムーネドギ / アトラク=ナクア / ニョグタ / *ウーオウトー / グツクォスティオス / ラグナルラ / シャッド=メル / ガタノトーア / ズトグア / *カーギィ / ゾス=オムモグ / ガトゥナース / ツァール / *シュル=キンター / ダゴン / イテプセド=イグニス / ズッコ=メー / バイアグーナ / クトゥグア / キーザ / ツンス / ヴァル=トゥーガ / シアエガ / ムナガラー / ベルム=ヤルダック / アムーフ・ザー / *シルヒー・パタウル / バグ=シャシュ / ヤマンソ / ヨグ=サファ / ボスロソーム / ラーンダイー=ブンク / イェブ / アポコロトース / グラーキ / *クァト=ホーブ / ウブ / アジュン=クングラ / イタカ / ドゥーギ / ウボ=サスラ / イニ=ウェイ / ボクラグ / ダルゴムァ / ニオス=コルガイ / トルネンブラ / シュマ=ゴラス / スンビルラー / *ドグラータ / イームナー / ダオロス / シュブ=ニグラス / ナイアルラトホテップ / ヨス=トラゴン / ラーン=テゴス / ジョーマジン / ハスター / イグ / アザトース

以上63柱の邪神(誤記あらば深謝) 其々を巡る63の〈分詩〉により構成。このうち「*」を付した6柱は実作に登場する神ではない模様。またガトゥナースは寺田旅雨「暗き沼の神」スンビルラーは新熊昇「天空(メテオラ)の死」其々に登場する各作者オリジナル神の由。それ以外にも本巻物独自創作神ありとのことだが 遺憾乍ら神話に不精通ゆえに特定困難。ヨグ=ソトース クトゥルー ナイアルラトホテップ アザトース等の超有名神は当然のごとく含まれる一方で 高名でも採られていない神もあり(採られてもごく短かったり) あるいはダゴンはいるがヒュドラ(ハイドラ)はいない等 必ずしも邪神界全般での平衡が図られているわけではなく 寧ろ作者の偏愛する無名神をこそ紹介し重きを置く傾向があるように窺われる。またショゴスやミ=ゴやナイトゴーント等 神ならざる(&単独でない)妖族は採られていない。

記述上の特徴は 小説でも解説でもなく「詩」である点が第一義とされ 七五調あるいは漢詩和訳文調が多用されて朗詠や歌唱にも沿い易いと見受けられ。また各分詩の末尾で使われた漢字を次の分詩の文頭に再置する法則を徹底しているのも目を惹く(何韻と呼ぶかは不明)。文面や用語は詰屈異様 難読難解も辞さずが基本路線で(但しルビは適宜あり) 意外な異体字やカッコいい未知熟語等頻出 教えられるところ大。その一方で各分詩の文脈は全てが暗澹陰鬱とは限らず 時に軽快またユーモラスな場合も(とくに終盤のラーン=テゴス 必笑)。

全篇書き下ろしでなはくネット上随時発表の分詩群が基になっている由で 作者の神話への倦むことなき熱意の集大成感濃厚。次なる高みへの飛翔愈々期待。 

【…賛せよ、無窮の赤熱を。畏れよ、闇に属する白き光輝を。その前途に混沌は無く、その軌跡に秩序は無し。在るは爆熱の無慈悲のみ。北洛師門に宿れる炎塊の領袖、クトゥグアの逆巻く御手に、形留むる物無かりせば。…】

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