宮脇孝雄『ネクロスコープ』解説全文!

宮脇孝雄 氏によるブライアン・ラムレイ『ネクロスコープ  死霊見師ハリー・キーオウ』(創元推理文庫) 解説全文『Webミステリーズ!』Vol.95に全文掲載!

『ネクロスコープ』こそ、ラムレイが専業作家としての地位を確立した最初の傑作なのだ。

http://www.webmysteries.jp/archives/18089192.html

タイタス・クロウ・サーガには、ラヴクラフト以外の要素も詰め込まれている。巻が進むにつれてラヴクラフト世界が徐々に膨らみ、歪み、変容していくのが、面白くもあり、ほんの一瞬、首をかしげるところでもあった。同じラヴクラフト派でも、この人はちょっと違うのではないか? 】

【 ラムレイの主人公は自分の運命を受け入れるのではなく、冒険小説のヒーローのように戦いつづける。たとえ肉体が滅んでも、霊魂になって戦いつづけるのである。ラムレイとは、実は冒険小説寄りの作家だったのではないか。】

リチャード・マシスン『地球最後の男』を、ラムレイ自身は史上最高の吸血鬼小説と考えており、その傑作を越える作品を書きたいと常々思っていた。】【それが本書に吸血鬼を登場させた動機である】

【 発表当時には誰も予想しなかったことだが、このシリーズは全五巻でいったん終了したかに見えたものの、のちに派生シリーズが始まり、全十六巻プラス中短篇の大河シリーズに成長している。】
【 たとえ物語の構成がいびつになろうとおかまいなしに、作者が面白いと思うものを手当たり次第にぶち込んだ椀飯振舞いのシリーズである。日本語で全貌が明らかになる日がくるのを期待したい。】

 

装画=海野なまこ

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