『ネクロスコープ』Amazon評にanz862氏見参!

ブライアン・ラムレイ『ネクロスコープ』にZEPHYROS氏以来久々にAmazon評! 

 

待望の評者はanz862氏!

以下サワリ…

上巻《死者にまつわる能力者たちの戦いの序曲》【 タイタス・クロウ・サーガの頃から良くも悪しくもその奇想天外な発想に目を引かれていたが、このシリーズでまたしても同様かそれ以上に心が沸き立った。】…このあと ハリー・ポッター・シリーズとの比較等もあり…

下巻《強大な超常能力者同士の戦いとその結末》【 恵まれすぎに見える主人公ハリーに対する感情移入が少なからず減じたことは否めず、クライマックスに向けての高揚感にわずかながらブレーキがかかる感覚を覚えてしまった。】…と注文をつけつつも…

最終決戦は派手な超常能力も発揮され、スリリングで読みごたえのあるものだった。】…と絶讃 上下共★★★★★! 感激深謝!

 

 

因みにanz862氏は『クトゥルフ神話掌編集2016』に「揺籃の繭」を寄稿。またリレー創作クトゥルフ神話『A Last New Year』↓ …

https://note.mu/zephyros/n/n0e63273a08d3

https://note.mu/nue4381/n/n1b78d1390b70

…の第3回 執筆予定 期待高し!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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我孫子武丸『監禁探偵』

我孫子武丸『監禁探偵』(実業之日本社 10/17発売) 読。

https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-53742-9

【 デビュー30周年をむかえた新本格のレジェンドが、同名人気コミック原作を自ら小説化。言葉だからこそ表現可能な新しい物語が誕生! 人間心理の歪みに迫る、驚愕のミステリ!!】

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同著者原作/西崎泰正(にしざきたいせい)画のコミックシリーズ『監禁探偵』『監禁探偵2』(同版元 共に2013年発売)の小説版。『Webジェイ・ノベル』に2017~2019年にかけて連載後 加筆 単行本化の由。
コミック版『監禁探偵』は拉致凌辱を目的とする男によって監禁された少女が手錠で拘束された状態のまま殺人事件を推理するユニークな設定の安楽椅子(?)探偵 本格ミステリ漫画であり 同シリーズ『2』は「続編と言ってもまた監禁されてしまうのでは芸がない」(=同書原作者あとがきより)との趣旨から 同じ少女が事故/手術により入院&車椅子状態となって病院内の変死事件に挑む筋立て。今版の小説版ではこれら2作がほぼそのままのストーリーで長めの中篇(or短めの長篇)へノベライズされているが ミソはさらに第三話(+プロローグ&2幕間)が新たに加えられている点で これによりコミック版では直接的には相互関係していなかった従前の2話が新視点によって架橋され 全体で1つの長篇となると同時に 全く新たな大枠の背景が生成されているところが最注目点。

「第一話 山根亮太」美少女アカネを監禁する若者 山根亮太は つけ狙うもう1人の美女の殺害死体を偶然にも発見してしまう。警察に疑われないかと狼狽する亮太に 奇妙にもアカネが協力し 不思議なほどの鋭い推理力で事件の真相を解明していく。コミック版では絵の効果によって可愛らしさセクシーさが先行していた感のあるアカネが 小説での言語描写ではより強烈な〈名探偵〉面が増大。

「第二話 宮本伸一」轢き逃げに遭ったアカネは手術により助かるも 病院内でナースの変死事件が発生。その謎を ワトスン役研修医 宮本伸一と共に追究するうちに もう1つのより大きな〈事件〉までが明らかに。監禁犯が少女に翻弄される戯画的設定の効果が濃厚だった第一話に比し より暗澹とした人間/社会の暗部に肉薄。

「第三話 アカネ」失踪した天才美少女探偵を忘れられない亮太と伸一は 協力し合ってアカネの行方を追い やがて彼女にまつわる驚くべき秘密に辿り着く。エピローグ前のラスト数ページのサスペンスはまさに手に汗握らせるが その行き着く先の様相の激越さは心胆寒からしめる。

ここに至って 大枠物語は作者 我孫子武丸が《人形シリーズ》『殺戮にいたる病』等で深耕してきた人格/アイデンティティの問題に沈潜。コミック版での可笑し味/荒唐無稽さから 遥かに深刻/真摯な人間剔抉へと変転すると共に 総じて1つの作品としてのスケール/重厚さ増強 一躍今年のミステリの一大収穫となったのでは。傑作。

 

監禁探偵

監禁探偵

 
監禁探偵

監禁探偵

 

コミック版も新装 再発売。 

 

 

余禄 この際 未見だった映画化作品『監禁探偵』(2013 監督 及川拓郎 主演 三浦貴大 夏菜) GYAO! 視聴。原作から大幅アレンジ──と言うより 外殻のみ借りたほぼ別作品の体だが これはこれで充分面白し。主演2人名演 とくに夏菜 魅力発揮。

https://streaming.yahoo.co.jp/c/y/00918/v12139/v1000000000000000945/?rep=2

https://movies.yahoo.co.jp/movie/344619/ 

監禁探偵 [DVD]

監禁探偵 [DVD]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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A・ブラックウッド他『幽霊島 平井呈一怪談翻訳集成』

A・ブラックウッド他『幽霊島 平井呈一怪談翻訳集成』(創元推理文庫 2019/8月刊) 読。

http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488585082

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英米怪奇小説紹介の第一人者たる鬼才の訳業から精選した傑作集。珠玉短篇13作+付録(=対談 エッセー 書評等)。小説は出典別に並べられ 同テーマ作群ごとに読み進められる利点あり。以下収録順。
H・P・ラヴクラフトアウトサイダー」──20世紀世界怪奇小説史を主導する作家の短篇代表作。異形への恐怖心理を濃密無比に謳いあげた至高作。当初雑誌訳載時の邦題は「異次元の人」とのこと。
アルジャーノン・ブラックウッド「幽霊島」──この作家得意の大森林に材を採る〈純粋怪談〉(=人間的因果と無縁な純超自然譚の平井による呼び方の由)。50年代の《世界恐怖小説全集2》からの初再録で 本集成の目玉作品。
ジョン・ポリドリ「吸血鬼」──近代吸血鬼文学の魁となった里程標作。悪の魅力を放つ怪人の造形はドラキュラ伯爵の祖型。シェリー夫人『フランケンシュタイン』と並び〈ディオダティ荘の一夜〉の成果でもあり。
E・F・ベンソン「塔のなかの部屋」F・G・ローリング「サラの墓」F・マリオン・クロフォード「血こそ命なれば」──以上3篇はいずれも女吸血鬼物で 不死者(アンデッド)設定も共通するが 物語作りの個性差に妙味あり。ポリドリ作品も含めた4篇共 叢書《怪奇幻想の文学》『Ⅰ真紅の法悦』からの再録。
W・F・ハーヴェイ「サラ―・ベネットの憑きもの」リチャード・バーラム「ライデンの一室」(共に同叢書『Ⅱ暗黒の祭祀』より再録) M・R・ジェイムズ「"若者よ、笛吹かばわれ行かん"」J・D・ベリスフォード「のど斬り農場」(共に同叢書『Ⅳ恐怖の探究』より再録)──以上4篇は 趣異なり乍らも ある種の魔人的存在を巡る怪異譚群と言える。
F・マリオン・クロフォード「死骨の咲顔(えがお)」シンシア・アスキス「鎮魂曲」──共に呪われた命運の物語で 同叢書『Ⅳ恐怖の探究』より再録。
オスカー・ワイルド「カンタヴィルの幽霊──汎観念論的ロマンス」──ユニークな幽霊視点による諧謔と哄笑に溢れた集中最異色作。『牧神』誌3号より再録。
各作冒頭の作者&作品紹介(無記名だが企画編集担当 藤原編集室の筆と思われ)は 訳者平井自身による作品評価等 目を開かされる未知情報多々。
付録群の白眉は何と言っても平井vs生田耕作の長尺ゴシックロマンス対談「恐怖小説夜話」(『牧神』誌創刊号より再録)。時に逸脱交えつつも啓発力甚大。紀田順一郎氏による巻末解説は平井の来歴や自らとの関わりを述懐しそれがそのまま海外怪奇文学移入史の概観となる。
今日では誰も真似できない一見ノンシャラン風な独特の訳文が実は推敲に推敲を重ねた末のものであり それゆえにこそ得られた超時代性と得心。1人の翻訳家そのものをテーマとしたアンソロジーはジャンル問わず珍しいに相違なく 創元では初かと。ウォルポール『オトラント城綺譚』始め未収録作による続巻が期待される。 

幽霊島 (平井呈一怪談翻訳集成) (創元推理文庫)

幽霊島 (平井呈一怪談翻訳集成) (創元推理文庫)

 

 

 

 


以下余談。個人的にはポリドリ「吸血鬼」を最重視。これでドラキュラ/カーミラ/ルスヴンの英国3大吸血鬼(※もう1つヴァーニーもありはするが)が同一文庫にしかも同じ訳者によって揃ったことになり慶賀。がそれ以上に肝心なのは 歴史的に重要な位置にあり乍ら文学的にはこれまで軽んじられがちだったことで 私見では緊迫と凄愴に富む傑作であると同時に 作者の数奇な運命と相俟って虚実に渡り触発性高く これを機に膾炙あれかしと。

因みに「吸血鬼」には他にも2種の既訳があり 1つは佐藤春夫訳(『ドラキュラ ドラキュラ』/『伝奇ノ匣9 ゴシック名訳集成 吸血妖鬼譚』所収) もう1つは今本渉訳(『書物の王国12 吸血鬼』所収)。ここでややこしいのは(本書中でも触れられているが)前者の実質訳者が他でもない平井呈一であること。つまり佐藤春夫の下訳を請け負ったのだが 実際には作家の手はほとんど入っていない模様で 事実上2つの平井訳が生まれる結果に。本書収録訳とは全く異なった擬古文調で これまた味読の価値あり。

 …実は弊ブログ子現在同版元での英米古典吸血鬼小説集を編纂中で ほぼ全篇を初訳物で占める中 唯一既訳のある作品がこの「吸血鬼」に他ならず(但しバイロン作「断章」付随予定)。嚆矢としての同作から頂点となる『ドラキュラ』の余滴に至るまでの血の変遷を辿る試みで 刊行順としては本書が先に出る運びとなったものの この作は企画の主旨上外せないので 同じ社から名訳が復活したあとにも拘わらず敢えて新訳を問わんとする次第。とは言え担当するのは共訳者 平戸懐古氏であり(既に訳出進行中)比較される洗礼は才能豊かな新鋭に任せることに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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エレン・ダトロウ編 ニール・ゲイマン他『ラヴクラフトの怪物たち 上』

エレン・ダトロウ編『ラヴクラフトの怪物たち 上』(植草昌実 訳 新紀元社)読。

http://www.shinkigensha.co.jp/book/978-4-7753-1750-1/

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2014年刊の原著 LOVECRAFT'S MONSTERS(edited by Elen Datrow)邦訳の上巻。同編者によるラヴクラフティアン系アンソロジーの2冊目に当たり 1冊目では「ほとんどは書き下ろしの作品」(編者「はしがき」より)だった由だが 本書は(少なくともこの上巻は)主に他のホラー傑作集等より選定した作品から成る模様。既成の神話観に囚われない斬新さ優先の集成を目指すもののようで「(ラヴクラフトを)墓の下で切歯扼腕させるような」作品を探し集めた旨記している。

ニール・ゲイマン「世界が再び終わる日」──いきなり異色のハードボイルド調インスマス奇譚。現代に近い時代設定乍ら雰囲気は懐旧的詩情に富む。
レアード・バロン「脅迫者」──こちらも探偵主人公だが時代は遥か遡り舞台は西部。どう神話に絡んでくるか? と思わせつつ 軈てある怪しい展開へと…
ナディア・ブキン「赤い山羊、黒い山羊」──神話で山羊と来れば…と誘っておいて明示はしない寓話風幻談。
ブライアン・ホッジ「ともに海の深みへ」──これもインスマス現代篇だが ゲイマン作品と異なりアクチュアリティ漲る。神話版『シェイプ・オブ・ウォーター』?
キム・ニューマン「三時十五分前」──これまたインスマスだが ガラリ変わって洒落た都会派コント。タイトルは某ジャズ曲の歌詞から。
ウィリアム・ブラウニング「斑(まだら)あるもの」──パルプ風秘境怪異。触手を具えた探険ロボットがユニーク。神話要素は明示されないが ラヴィニアの名あり。
エリザベス・ベア「非弾性衝突」──妖しい天使姉妹の奇妙な遍歴譚。背後に昏い神話的世界観示唆。タイトルは小道具となるビリヤードに絡む科学用語。
フレッド・チャペル「残存者たち」──上巻最長の力篇。〈古きもの〉が蔓延する世界で生きる幼い兄妹と そんな地球の残存者への接触を図る異星人との交互視点記述。双方の未来は如何に…? 随所に〈テケリ・リ〉あり。

弊ブログ子を含め神話ファンは何より先ず神話要素こそに注目し過ぎな面を否めないが 敢えてそこに拘らず 新たな神話テイストを求める(その一方で書名どおり〈怪物〉は登場する)という編者の意図は この上巻を通じて徐々に感得。難解味の作品を含むも リズム感ある訳文の甲斐あって読み易さ例外なし。とくに個人的好みを挙げれば ストレートに緊迫感の昂まる「ともに海の深みへ」「残存者たち」か。東雅夫氏による解説「ゴジラVSクトゥルー!?」は怪物怪獣マニアの意気横溢。
年末に予定される下巻に更なる期待。

 

ラヴクラフトの怪物たち 上

ラヴクラフトの怪物たち 上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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海野なまこ 朱鷺田祐介『クトゥルフ様がめっちゃ雑に教えてくれるクトゥルフ神話用語辞典』

海野なまこ 著・画『クトゥルフ様がめっちゃ雑に教えてくれるクトゥルフ神話用語辞典』(朱鷺田祐介 監修 2019/9月 新紀元社) 読。

http://www.shinkigensha.co.jp/book/978-4-7753-1744-0/

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クトゥルフ界で既に高人気を誇る独特の《ゆるるふ》画による新趣向の神話ガイドブック。「めっちゃ雑に」(※著者出身地方に因み本文でも関西弁表現が効果的)のタイトルから相当大胆な簡略案内書の方向性を予想していたが… 内実は然に非ず! 雑どころか極めて精緻周到の感横溢。これは監修&解説担当 朱鷺田氏の力によるところも大きいだろうが 兎に角 海野画伯の斯界への深い愛と知識が脈々と且つ解り易く伝わる点が大魅力。神話に精通しない身としては そうだったのかと今更に教示されること多々(各項目の初出作品が記されているのも重宝)。所謂旧支配者(邪神)に限らず奉仕種族や旧神まで含めた全58存在(数え間違いあれば深謝/ロイガーとツァール等1項目で複数種の紹介もあり)を軸として 他に魔道書&地名も。何より画期的なのは 見開きの片ページでの外見画(勿論ゆるるふ風)と解説に留まらず 2ページ目にそれを基にした4コマ漫画が描かれていること。各邪神の特性をデフォルメしたネタ群は愉快&秀逸至極で 絵による類似書多しと雖もこの点は追随を許さない独自性。その徹底した〈ゆるさ〉志向こそ「めっちゃ雑」と言えば言えそう。
朱鷺田氏によれば 現在「TRPGと言えばクトゥルフのこと」とイメージされるほど未曽有のブームの由で そちらから神話に嵌まった海野画伯はまさに現世代ラヴクラフティアン代表の感(朱鷺田氏令嬢より年下とは驚き!)。画伯に倣い本書から神話小説を読まんと欲するゲームファンの増大に期待。 

クトゥルフ様が めっちゃ雑に教えてくれる クトゥルフ神話用語辞典

クトゥルフ様が めっちゃ雑に教えてくれる クトゥルフ神話用語辞典

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

稲羽白菟 他『三毛猫ホームズと七匹の仲間たち』

赤川次郎『三毛猫ホームズと七匹の仲間たち』(論創社 2019/7月刊) 読。 

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「出版状況の厳しさから、新人賞を受賞した人たちにとって、次のステップの機会が少な」い昨今の環境への対応として編まれた競作集の由(浜井武による巻末解説より)。ゲストに赤川次郎を迎え ベストセラーシリーズ《三毛猫ホームズ》に因み〈動物〉テーマが課題。赤川は先頭で往年の名作短篇「三毛猫ホームズの殺人展覧会」を提示。ある意味で陰惨と言える事件を扱い乍ら 独特のウィットと含蓄深い展開流石。以下 参加作家陣の各作。

山本美里「御所前お公家探偵社」…元貴族探偵が不貞殺人に挑む。動物は〈犬(狆)〉だが 〇&〇〇も付加。名家 鞠小路家は鞠小路鞠夫(我孫子武丸作)と因縁?

米田京「キッチン大丸は今日も満席」…レストラン経営を巡る変死事件を意外な探偵役が推理。動物は〈鯉〉僅かな登場シーン鮮やか。

川辺純可「プリズンキャンプのバッファロー」…戦時米国日系人収容所舞台で 秘史に目を開かせる異色篇。動物は〈野牛(バッファロー=バイソン)〉。

稲羽白菟「五段目の猪」…私的最注目作。長篇『合邦の密室』に続く海神惣右介(わだつみそうすけ)シリーズ。文楽の世界舞台の過去事件を語りのみから解く安楽椅子探偵譚。動物は〈猪〉。

井上凛「メルシー・ボク」…遺産殺人を〈犬〉が解決。ある種の〇〇トリックが妙味。

植田文博「これは私の物語」…アクション+医学を絡めた唯一のハードボイルド。老人と若い娘の奇妙な関係が鍵。動物は〈猫〉。

和喰博司「ホタルはどこだ」…現職気象庁職員作家による〈蛍〉観測奇譚。殺人の起こらない 心暖まる好篇。 

いずれも感心余儀ない秀作揃い乍ら 個人的には「五段目の猪」と「メルシー・ボク」が最推し。前者は 悲劇性&外連味等 伝統系本格ミステリとしての達意の美観に 後者はユーモアの陰に隠した企みの見事さに 其々拍手。

なお各作冒頭に《三毛猫ホームズ》の思い出や自己紹介を記したページあり。巻末には版元による第1回論創ミステリ選賞(!)開催宣言も。

【偉そうに「小説指南」などするつもりはないけれど、(中略) 心細かったとき、私を支えてくれたのは、「小説を書くことが楽しい!」という思いだった。】──赤川次郎の巻頭言「新人作家のころ」より。 

三毛猫ホームズと七匹の仲間たち

三毛猫ホームズと七匹の仲間たち

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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クトゥルフ巻物『妖神乱舞』

クトゥルフ神話巻物『妖神乱舞』(龍龖龘𪚥=りゅうどうとうてつ 著 治田豪和=おさだとしかず 編 2013刊 豚蛇出版) 通読。

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ヨグ=ソトース / クトゥルー / ヴフドゥフトゥブグ / チャウグナル・ファウグン / タムーネドギ / アトラク=ナクア / ニョグタ / *ウーオウトー / グツクォスティオス / ラグナルラ / シャッド=メル / ガタノトーア / ズトグア / *カーギィ / ゾス=オムモグ / ガトゥナース / ツァール / *シュル=キンター / ダゴン / イテプセド=イグニス / ズッコ=メー / バイアグーナ / クトゥグア / キーザ / ツンス / ヴァル=トゥーガ / シアエガ / ムナガラー / ベルム=ヤルダック / アムーフ・ザー / *シルヒー・パタウル / バグ=シャシュ / ヤマンソ / ヨグ=サファ / ボスロソーム / ラーンダイー=ブンク / イェブ / アポコロトース / グラーキ / *クァト=ホーブ / ウブ / アジュン=クングラ / イタカ / ドゥーギ / ウボ=サスラ / イニ=ウェイ / ボクラグ / ダルゴムァ / ニオス=コルガイ / トルネンブラ / シュマ=ゴラス / スンビラルー / *ドグラータ / イームナー / ダオロス / シュブ=ニグラス / ナイアルラトホテップ / ヨス=トラゴン / ラーン=テゴス / ジョーマジン / ハスター / イグ / アザトース

以上63柱の邪神(誤記あらば深謝) 其々を巡る63の〈分詩〉により構成。このうち「*」を付した6柱は実作に登場する神ではない模様。またガトゥナースは寺田旅雨「暗き沼の神」スンビルラーは新熊昇「天空(メテオラ)の死」其々に登場する各作者オリジナル神の由。それ以外にも本巻物独自創作神ありとのことだが 遺憾乍ら神話に不精通ゆえに特定困難。ヨグ=ソトース クトゥルー ナイアルラトホテップ アザトース等の超有名神は当然のごとく含まれる一方で 高名でも採られていない神もあり(採られてもごく短かったり) あるいはダゴンはいるがヒュドラ(ハイドラ)はいない等 必ずしも邪神界全般での平衡が図られているわけではなく 寧ろ作者の偏愛する無名神をこそ紹介し重きを置く傾向があるように窺われる。またショゴスやミ=ゴやナイトゴーント等 神ならざる(&単独でない)妖族は採られていない。

記述上の特徴は 小説でも解説でもなく「詩」である点が第一義とされ 七五調あるいは漢詩和訳文調が多用されて朗詠や歌唱にも沿い易いと見受けられ。また各分詩の末尾で使われた漢字を次の分詩の文頭に再置する法則を徹底しているのも目を惹く(何韻と呼ぶかは不明)。文面や用語は詰屈異様 難読難解も辞さずが基本路線で(但しルビは適宜あり) 意外な異体字やカッコいい未知熟語等頻出 教えられるところ大。その一方で各分詩の文脈は全てが暗澹陰鬱とは限らず 時に軽快またユーモラスな場合も(とくに終盤のラーン=テゴス 必笑)。

全篇書き下ろしでなはくネット上随時発表の分詩群が基になっている由で 作者の神話への倦むことなき熱意の集大成感濃厚。次なる高みへの飛翔愈々期待。 

【…賛せよ、無窮の赤熱を。畏れよ、闇に属する白き光輝を。その前途に混沌は無く、その軌跡に秩序は無し。在るは爆熱の無慈悲のみ。北洛師門に宿れる炎塊の領袖、クトゥグアの逆巻く御手に、形留むる物無かりせば。…】

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由良瓏砂 師による朗読CDあり ↓ 通販可。美声 名調子。

https://twitter.com/yurarosa/status/1152521536152059904

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※9/8(日) 千駄木〈ギャラリー幻〉クトゥルフ神話作品展 最終日レセプションにて瓏砂師による巻物朗読予定!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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