稲羽白菟『合邦の密室』

先日 新派『犬神家の一族』観劇後サインいただいた 稲羽白菟 氏作『合邦の密室』(2018/6月刊 原書房) 読。

http://www.harashobo.co.jp/book/b370531.html

【第9回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞準優秀作。「わたしは母に毒を飲まされた」という不可解なノート、そして生首と崩れた顔……。すべてあの日の三味線から始まっていた。新鋭による和テイスト満載の本格推理。】

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合邦の密室(がっぽうのみっしつ)──の合邦とは何か?…:と検索すると歌舞伎&文楽(=人形浄瑠璃)の演目『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』に出てくる僧侶?の由で 本作はその古譚&文楽の世界を材とした本格ミステリー。

巻頭いきなり 母親に毒を飲まされた子供の告白文が配され衝撃&厭鬱な予兆漲るが この謎の独白と『摂州合邦辻』との連関が全篇の鍵となり 文楽と深い縁を持つ瀬戸内の小島「葦船島」を舞台に 過去&現在の不可解な殺人事件を 劇評家探偵 海神惣右介(わだつみ そうすけ)が解読。現実世界と古典芸能の幻想世界との相互干渉が終局で 思わぬ大きなテーマへと嵌まり 意想外の景観を現出。伏線 外連味 推理のカタルシス等 見事に決まり 島田荘司氏の「非常に丁寧に描かれ完成された 文楽への愛情を込めた本格」との賛意実感。事前には 文楽等にまるで無知ゆえ危惧したが 作中での解説が過剰な衒学に偏しない適宜さで雰囲気効果もあり 理解&関心喚起。個人的最瞠目は 重要な役割担うある人形を巡る展開&描写で 美醜の概念を揺らがす不思議な想像力に触れた感。

探偵 海神シリーズ 既に継続執筆が開始されている模様で 今後も演劇や芸能の世界か軸となって行きそうな予感あり 続巻期待。 

合邦の密室

合邦の密室

 

 

面白し『合邦の密室』!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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