朱鷺田祐介『ラヴクラフト1918─1919 アマチュア・ジャーナリズムの時代 Ver0.5』

朱鷺田祐介ラヴクラフト1918─1919 アマチュア・ジャーナリズムの時代 Ver0.5』(2019/8月 朱鷺田祐介 刊)読。

https://conos.jp/product/lc0918-191-05/

f:id:domperimottekoi:20190819193908j:plain

朱鷺田氏が近年熱心に取り組み私家版で刊行し続けている若き日のH・P・ラヴクラフトを巡る検証と考察の記録 最新版。少しずつ追加と補正を重ねては新版を出していく(旧版も残しつつ)ユニークな手法で これまでにVer0.4(※遺憾ながら未入手)まで既刊。因みに入手済みは0.2と0.3で タイトルは共に『ラヴクラフト1918 アマチュア・ジャーナリズムの時代』(=上の写真 ↑ の右2冊。左端が今般の新刊)。
毎回序盤で目を惹く名言「あれ、ラヴクラフトって、俺らと一緒じゃねえ?」に象徴されるように 著者自身の青春時代に重ね合わせるところから出発しているのが最大の特徴で HPLを神格化やあるいは逆に変人化するのではなく 懊悩や失敗に揉まれ乍らもアマチュア文芸とそこから生まれる人的交流とに活発に邁進していく 謂わば〈普通の文学青年(当然才能は普通以上乍ら)像〉を見出さんとする姿勢に好感大。学業での挫折 / 母親との関係 / アマチュア・ジャーナリズムへの目覚め / 交友と恋愛 / 論争と意識変遷 / 創作と生業etc… それらの中での新たな(※入手しているVer0.3との比較だが)追加分でとくに目立つのは 末尾近くの「100年前のラヴクラフト 1919年(承前)」の項で 当該時の創作群とその周辺事情について詳述されている。
最初からの完成形での刊行志向ではなく 敢えて生き物のごとき変化と成長を含ませた論述の試みの今後に愈々期待。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.